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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第74章 惑乱


「でも、それはあくまで"起こった出来事"を調べて貰ったというだけ。その時誰がどう考えて行動したかなんていう事は、私には分からないわ」

それは、そうだろう。
でも……

「オレに、オレに全部教えてもらえませんか。
オレ、みわの全部が知りたいです。
みわを、受け止めたいん……です」

この胸のモヤモヤを取っ払いたくて、お祖母さんにそう頼んだのだが、お祖母さんは、迷う事なく首を横に振った。

みわの失われた過去に関しては、みわ自身の記憶が戻って、その時に質問された場合のみ、答えると決めているとのこと。

オレに、重荷を全部背負わせる訳にはいかないということ。

オレはそれでも構わないと言ったが、お祖母さんが首をタテに振ることはなかった。

「じゃあ……今回の事ならいいんスよね。
みわ……なんつーか……こんな事言うの、アレなんスけど……」

みわは、オレが初めてじゃなかったとショックを受けていたが、オレはみわを初めて抱いた時のこと、今でもハッキリと覚えている。

痛みに顔を歪め、掠れた声でオレを健気に受け入れようとしてくれた事。

行為によって、出血もした。
あれが初めてじゃないなんてこと、あるのか?

「やっぱり、何かの勘違いじゃ……」

「黄瀬さん、"処女膜再生手術"って、知っている?」

……処女膜再生、手術。
聞いたこと、ある。
クラスの男子が、なんかふざけて話してた。
何回でも処女になれんだぜ、って。

「一応……聞いたことは」

「私があの子を引き取った時に、最初に受けさせたの。あまりに悲しい奪われ方をした"初めて"を、きちんとやり直しさせてあげたくて。でも、その記憶ごと、失ってしまっていたのね」

みわの背中にのしかかる過去が、遠慮なく重みを増してくる。

みわが押し潰されないように、何が出来るんだろう。

とにかく今は、頭が痛い。




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