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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第74章 惑乱


"過去に起こった出来事と同じような体験をする事で、記憶を取り戻す可能性がある"

みわのお祖母さんが言ってた事だけど……こんな、こんな状況で、そんなこと、ある?

ただでさえ傷付いてるみわに、なんで追い討ちをかけるようなこと、すんだよ。

誰を恨めばいいのか、もう分からない。

みわもオレも、混乱してる。

みわは、体力が底をついたのか、暫く大泣きした後に、すっと意識を失ってしまった。
眠って……るんだと、思う。

1ミリの隙間すらも許されないくらいに抱きしめていたその身体を、そっと離した。

規則正しく上下する胸に、ホッとする。
死にたいなんて、言わないでくれよ。
みわがいない世界なんて、考えられない。

大切で、大事で、好きで、好きで。
一緒に居たい、それだけなんだ。

せめて、夢の中でくらい、楽しい時間を。
そう願って、冷え切った手を握りしめる。

……

さっき、みわはなんて言ってた?
昔、同じような体験をしたって?

どういう、意味だ?
どうにもまとまらない頭を抱えていると、ガラリ、スライドドアが開く乾いた音。

「黄瀬さん……みわ、落ち着いたかしら」

「あ……ども、今寝たところっス」

みわのお祖母さんが、ゆっくりと病室に入って来た。
さっきの話、聞こえていただろうか?

「みわが、過去の記憶がまた戻ったと言っていたんだけれど……」

「はい、オレもさっき……聞いたんスけど、本当に記憶、なんスか? 本当にそんな事があったかどうかなんて、今更分かるもんじゃないっスけど」

「いえ……あったの。実際に、あったわ」

噛み締めるように、そう言うお祖母さん。

「なんで……知ってるんスか?」

そうだ、みわと血の繋がりがないお祖母さんは、何故こんなにも様々なことを知っているのだろう。

「ごめんなさいね。……あの子を引き取る時に、調査会社を雇って、調べて貰ったの。だから、あの子に起こった事は、把握しているつもり」

……そうか。そうだよな。
言葉にしてみたら、こんなに簡単な事だった。


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