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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第74章 惑乱


「みわ!!」

ダメだ、ダメだ、なんでそんな事言うんスか。

声をあげてわんわんと泣くみわを、とにかく無我夢中で抱きしめた。
喉が切れてしまうんじゃないかと思うほどの声。
こんな泣き方するのも、初めてだ。

みわが、壊れてしまう。
いや、もう……壊れてしまったのか?

何か……彼女と日常を繋ぐ何かが、必要だ。

やっぱりそれは、目標、だろうか。
理学療法士になりたいという、目標。

でも、そんなの、この状態の彼女に効くのか?

何が、みわを救ってあげられる?

「みわ、みわは汚れてなんかない」

ああ、いつか言った記憶のあるセリフだ。
みわは、一度だって汚れてなんかないし、これからも、汚れない。

「嘘っ……きたな、い、汚い。だって私、あんな、あんな人達に、私、あんな」
「みわ、言わなくていいから」

言わないで。
自分で自分の傷を抉るようなこと。
自分を貶めるようなこと。

「っ、それに、私、ずっと、涼太に、嘘、ついてた」

「……え?」

嘘?
ずっと、って?

咄嗟に聞き返してしまった事に気が付いた。
しまった。

「いやごめん、なんでもない。今はとにかくさ、身体を休め」
「私……涼太が初めてなんかじゃ、なかった」

ハジメテ?
なに?
なんの?

「私……っ、思い出したの、昔を」

昔?
みわは何を言ってんスか?
理解が、全然追いつかない。

ダメだ。
本能が警告を発してる。
これ以上、みわを喋らせちゃダメだ。

「みわ、いいから、やめて」

でも、力ずくで押さえつけるような事だけはしたくない。

「私……昔、ああやって、沢山のひとに……された、事がある。詳しくは思い出せないけど、それだけははっきりと、思い出したの」

待って、突然流れ込んできた情報の量に、処理能力はエラーを起こしてる。

「……死んで、しまいたい」

みわの、温度のない声。

ねえ、カミサマ。
オレたちになんか、恨みでもあんの?


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