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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第74章 惑乱


「コントロール……できるように、なるのかな」

それは、ぽつ、と小雨のようにささやかに、そこにそっと置くように。
そんな風にみわは呟いた。
突然表情のなくなった顔は、漂白したかの如く、白い。

「どしたの? 出来るっスよ、みわなら」

努力家で、マジメで。
才能があって努力するみわに、出来ないことなんか、あるワケないじゃねぇスか。

怪しいとは思ったものの……気功の達人とかは、みわが言ってたような、雰囲気で相手を把握する……ような事が出来るらしい。

みわの洞察力、観察力、記憶力……色々な経験が、その力の源になってるんだろう。

一見、非現実的だけど……そんなこと言ったら、はは、オレのコピー能力の方が、よほど非現実的だろうな。

「私……自分の感情ですら、コントロール出来ないのに……」

みわの声が、瞳が、揺れた。
彼女のこころの揺れを表しているかのように、少しずつ、湿り気を帯びてゆく。

気持ちが、また現実側に戻ってきた。
不安定。
こんなみわ、見たこと無いくらい、不安定だ。

「みわ、ダイジョーブ、なんも心配ないっスよ」

……なんて、気休めにもなんないかもしんないけど、オレもなんて言ってあげたらいいのか、正直、分からなくて。

やっぱり、今はとにかく身体を休めないと、ダメだ。
健康な精神には健康な……なんかあんまりハッキリ覚えてないけど、そんな感じの事を言ってたヒトが居たはずだ。

「少し横になって、みわ」

ベッドを占領していたオレはさっさとどいて、みわを横たわらせた。

「ごめ、ごめんなさい、涼太……」

「だから、なんで謝るんスか。みわは、悪くないんだか」
「私……っ、死んででも、守れば良かった」

……何、なん、だって?

「涼太が、愛してくれたのに、私、全部台無しにして、私……死んだ方がっ、っ、良かった……!」

「みわ、そんな事言わないで」
「涼太、ごめんなさい、ごめんなさい、私、汚れて、ごめ……!」

突然、堰を切ったように溢れ出た本音。
どんどんと勢いを増して、せっせと築いた堤防をあっという間に決壊させていく。


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