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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第74章 惑乱



病室に流れるのは、穏やかな時間。
今、こんな事してる場合じゃないのに……って思ってから、ふと、気が付いた。

普段通りにしてないと、みわの精神が保たない、のかもしんない。

無意識に、普段通りにしようとしてしまっているんだろうか。

いつものオレたちで、いいんだろうか。
みわがそう望むのなら。
……無理させない程度に。

「それにしたってさ、みわ。あの状態でよく分かったっスね? オレの足のこと」

フツー、分かんないよな?
引きずってるわけでもなかったはずだし。
更に、みわはこんな状態なのに。

「うん……なんとなく、重心のかかり方がおかしいって……」

「そんなのに気付けるって、スゴくないスか?」

「うん……あのね、ウィンターカップの直前くらいから……選手のちょっとした様子からね、調子が分かるようになったの」

そりゃ、初耳だ。

「あれっスか? 誠凛の前のカントクさん……リコサン? みたいに、数値で見えちゃうとかってヤツっスか?」

確かあれは、リコサンの小さい頃からの環境がそうさせた、って黒子っちから聞いたけど……。

「違う違う、あんな凄い能力じゃなくてね、もっとぼんやりとした……オーラ? みたいなものを感じるっていうだけ」

「オーラ?」

なんか、占いとかでよく聞くやつ?
みわ、話が怪しげになってきたっスよ?

「なんていうんだろう……調子の悪いところが、揺らいで見えるっていうか。私も、最近のことだからまだ、上手く説明出来ないんだけれどもね」

「へぇ……」

「あ、今怪しいって思った?」

「いやまあ、ちょっとだけ……でも、それが自分でもコントロール出来るようになったら、スゴイ事じゃねぇスか」

やっぱりみわも、タダモノじゃないっスね。
その力、磨いたら大きな武器になる。
オレが心配しなくったって、みわは誰よりも努力して、その力をモノにするだろう。

オレと、同じ夢を持てるひと。

……早く、いつものみわに戻してあげたい。


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