• テキストサイズ

【黒バス:R18】解れゆくこころ

第74章 惑乱


ふわふわ、あたたかい。

このベッド、すごく気持ちがいい。

まるで包まれているような、守られているような。

あ、でも……
そろそろ、目が覚めてしまうかもしれない。

ずっとここで、寝ていたいなあ。

ずっとここで……




「……ん」

意識の覚醒と共に、襲ってくるのは頭部の鈍痛。
鼻が詰まっている。ちょっと息苦しい。

眼前には、柔らかい生地のセーター。
これ、見覚えのある……

「目、覚めた?」

その優しい声。
大好きなひとの、声。

「涼太……」

思い出した。私、泣いて……
気付けば私は、眠ってしまっていたらしい。
涼太がずっと、抱き締めていてくれたんだろう。

涼太も身体をベッドから起こし、ぽりぽりと頭を掻いた。

「赤司っちは、面会時間とかあんま気にしなくていいって言ってくれたっスけど……」

そうだ、今何時?
枕元に置いてあったスマートフォンを確認すると、かなりの時間、眠ってしまっていた事に気付いた。

「ごめんなさい、私」

「病室、泊まってってもいいんスかね? 離れたくねえし」

ふわりと撫でられた頭が、気持ちいい。

「ちょっと聞いてくるっスわ」

そう言ってベッドから降りる涼太のセーターの裾を、強く引いた。

「みわ?」

「待って、私、も、……行く」

「え、みわ、身体……ツライっしょ? すぐ、戻ってくるっスよ」

「大丈夫。いつも、お散歩した方がいいって、看護師さんから言われてるんだ」

困らせてる。
分かってる、邪魔だって。
でも

「ひとりになりたく……ないの」

ひとりになるのが、こんなにも怖くて。

涼太は、それ以上反論せず、寝たきりですっかり足腰の弱った私を支えながら、連れ出してくれた。



/ 2455ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp