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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第20章 夏合宿 ー3日目ー


宿に着いて荷物を降ろしている時も、無言。

「あ、黄瀬くん、ありがとう……」

軽くお礼を言って、その場を去ろうとした時。

「……今夜は寝る前の少しの時間でいいから、オレにちょうだい」

言葉は優しいけれど、有無を言わさない迫力があった。

「分かった、じゃあ……お風呂上がったらメールするね。もし黄瀬くんが寝ちゃってたらまた日を改めてでも……」

「起きてるから。待ってる」

そういうと、私の頭をクシャッとして去っていった。
笠松先輩がよくやるやつ。

……黄瀬くん、何にそんなに怒っているの?
本当に分かんない……!

1日目と同じように、食事後に各部屋を回っていく。

今日は、2軍の部屋では特に異常がなかったので、初日よりも早く終わった。

お風呂で手早く汗を流す。

大浴場を出るときには、また待ち伏せをされていないかと少し警戒したが、人影はないようで安心した。

部屋の前まで戻ると、同じく部屋に入ろうとしている黄瀬くんの後ろ姿が見えた。

どこかに行っていたのかな。

「……あ、みわっちおかえり。もう時間、大丈夫っスか?」

口調がいつもの黄瀬くんに戻っている。

「あ、うん お待たせ。もう大丈夫。……待ってるね」

部屋に入って着替えなどを素早く片付け、ティーバッグのお茶を淹れると、すぐにノック音が響いた。

「……はい……」

「みわっち、オレ」

ドアを開けると、いつもの黄瀬くんが立っていた。朝の雰囲気ではない。

でも、やっぱりどこか違和感があるような……。

「あの、お茶淹れたからそこ、座って」

「ん、ありがとう」

2人でお茶を飲む音だけが部屋に響く。

切り出し方を悩んでいると、黄瀬くんから話し出してくれた。

「……みわっち、昨日のことだけど。
過去の女の事、ずっと気にしてたんスか? この間、キス嫌がったのもそれが原因?」

黄瀬くん、声は穏やかだけど、心中穏やかでない雰囲気が出てる。
当たり前だよね……。

「いつも気にしてなんていなかったけど……この間のキスの時のは、そう……」

「なんで? 誰かになんか言われたんスか?」

その質問に、言葉が詰まる。

噂に振り回されるような女って、やっぱり嫌われるよね……。



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