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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第74章 惑乱


みわの気持ちが落ち着くまで、
とか
今は刺激になるようなことは良くない、
とか
みわはオレのことを思って、
とか
オレは何ができるのか、
とか
距離を置いてあげた方がいいのか、
とか
性能の良くない頭で色んなことを考えて考えて考えてたんだけど、悩んでたんだけど、それを聞いてそんな分別は一瞬でどこかへ消えていた。

足が、勝手に動く。

みわのベッド脇に座っているお祖母さんと目が合って、その目が驚きで見開かれていく。

通路を抜けた先、余計なものが一切ない非常に殺風景な部屋……赤司っち曰く、自殺防止の為の対策が施されている部屋らしいが、窓も外側のシャッターのような物が閉まっているせいか、ひどく寂しく感じる。

目が痛くなるほど白いシーツの上に……みわは居た。

自ら起き上がる事はしておらず、ベッドのリクライニング機能で、上半身だけが起き上がっている状態だ。

さらさらに艶めいていた黒髪は艶をなくし、頬を覆う大きなガーゼに、薄く開いたままの口元には赤黒いアザのようなもの。

目の下にはくっきりと黒いクマが浮かんでおり、布団からわずかに覗く色白の肌は、いつもに拍車をかけて白い。

そして、その目は虚ろで、まるで色が無かった。

オレが現れても、視線はどこかへ固定されたまま、動かない。

「みわ」

その傷付いた痛々しい姿に、名前を呼ぶのが精一杯だった。

みわは、ピクリと肩を動かして、声のする方向……こちらを見た。

その動きはまるで、壊れた機械人形のようで。

「…………え」

固まったみわと目線を合わせたまま、オレはお祖母さんの横に置いてある、木箱のような椅子に座った。

「うそ、どうして」

唇がわなないて、大きな黒目が揺れている。

「ごめん、お祖母さんは悪くないっスよ。オレが、勝手について来ただけだから」

「え、あ、あ」

「みわ、なんにも言わなくていいから」

驚いて布団から飛び出た手には、包帯が巻かれていた。




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