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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第74章 惑乱






視界が、開けていく。

無機質な、白い天井。

ここ、どこだ。

「──みわ」

そうだ、みわに会いに来たんだ。
みわに、会いたい。
みわ。

「黄瀬さん」

動かした視線の先にいるのは、……みわのお祖母さん。

「あれ、オレ……」

「赤司さんが……止めてくれたの」

……スズサン。
オレ、カッとなって……。

ああ、赤司っちのパンチが入ったって事か。
道理で、頭がクラクラする。

「身体はどう?」

優しい眼差し。

「……オレなんか、どうだっていいんス。みわは、もっと……」

それを向けて欲しいのは、オレじゃない。
もっと痛くて怖い思いをしたのは、みわだ。

「黄瀬さん。事件の事を絶対に貴方に言うなって、言われていたの。
でも、お願い。みわを助けて」

「オレに……出来ること、あるんスか」

あるんだろうか。
傷ついたみわに、出来ること。

みわの過去を知るたびに、当時オレが側にいれば、っていつも思ってた。

でも、実際のオレはこんなにも無力で。
男のオレは、みわに何をしてあげられる?


「みわね、殆ど喋らなくなってしまったの」

「……え?」

そんな、バカな。

つい、昨日。
みわと電話で話したばかりだ。

行けなくて、ごめんねって。
何度も、ごめんねって。

確かに元気のない声だったけど、まさかこんな事が起こっていたとは思えないほど、いつものみわだった。

どんな気持ちで、あの電話をかけてきたんだろう。

「本当よ。誰の呼びかけにも、殆ど答えられなくて。……それが、心配かけまいと、昨日は自分から貴方へ電話をかけた。あの子にとって、貴方の存在は何より大きいんだと思うのよ」

……みわ……。










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