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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第74章 惑乱


「オレがアメリカ行った日……午後に、みわと話したんスか? なんて?」

「いや、違う。神崎さんの携帯から電話があったんだ。かけてきたのは……」

赤司っちの声と重なるように、ごく小さな音でコンコンとノック音が聞こえた。

「どうぞ」

赤司っちのその言葉に続いて、部屋に入って来たのは、オレもよく知る、小柄で気が強い、海常のマネージャー。

「……スズサン? は、なんで?」

スズサン、だ。
どういう事だ?
なんで彼女が?
ますますわけが分からない。

「彼女から話した方が早いだろう」

赤司っちに促され、スズサンは彼の隣に座った。

「黄瀬先輩……っ、すみませんでした!!」

深々と頭を下げられても、リアクションの取りようがない。

「スズサン、何があったか最初から話してくんねぇスか、いきなり謝られても」

「あっ、そ、そうですよね……すみません」

話が進まない事にイラつきを覚える。
アンタの謝罪なんかどうだっていいんだよ、さっさと話せよ……そんな風に怒鳴りつけたくなる本音を、ぐっと抑え込んだ。

「私……ずっと、AVへの出演を強要されてたんです」

……えー、ぶい?

その言葉を皮切りに、スズサンは状況を話した。

スカウト詐欺に遭ったなどと、厳しく、人格者の父には相談できなかったこと。

撮った写真をインターネット上で公開すると脅され、さらに沢山の裸体写真を撮られたこと。

女の子を紹介すれば、二度と勧誘はしないと騙されたこと。

みわならなんとかしてくれるのではないかと、縋るように彼女に頼ったこと。

しかし、結局具体的に相談出来ずに事務所まで行ったため、男たちに捕まり、ふたりともAV撮影をされそうになったこと。

……みわが、スズサンを逃がして……被害に遭ったこと。

彼女のあまりの身勝手さに、気が付けば奥歯が砕けそうなほど食いしばっていた。




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