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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第74章 惑乱


「……アレ……」

そうして、えっこらえっこらと電車を乗り継ぎ、辿り着いたみわの家……お祖母さんとの家。

チャイムを何回か鳴らしたが、出てくる気配がない。

どうしたんだろう?
不思議に思って、ひとつの可能性が浮かぶ。

看病疲れのみわも、お祖母さんと一緒に眠ってしまったのかもしれない。

連絡もせずに来ちゃったしな。

普段から寝不足のみわ、その眠りを妨げたくなくて、静かにその場を後にした。



時間が浮いてしまった。
そうだ、バスケ部に顔出そう。
向こうで……アメリカで閃いて、試してみたい事もある。

寮にお土産と荷物を置き、練習着を持ってすぐに体育館へと向かった。

もうすぐ3月、春は近いとはいえ、まだまだ頬を打つ風は氷のように冷たい。




「え……来て、ないんスか?」

笠松クンと小堀クンは、顔を見合わせてからコクコクと頷いた。

「いらしてませんよ、神崎先輩」

まさかの発言。
そんな、そんなわけないのに。

「なんで? いつから?」

「えっと……黄瀬先輩がアメリカに行ってからは、一度も」

どういう事だ?
みわは、オレがいない間、毎日バスケ部に顔を出す予定だと言っていた。

もしかして……

お祖母さん、風邪じゃない、のか?
どこかの病院に入院してしまったとか。

それなら、さっき家に居なかった事も辻褄が合う。

以前もあった。あれはそう、お祖母さんが怪我をした時だ。
キセキの皆で集まってたオレが気にするからって、みわはオレに内緒にして。

そう気付いたらもう、そうとしか思えない。

オレは体育館へ踏み入れようとした足を逆方向へ返し、走り出した。

「あれっ、黄瀬先輩!? 練習、していかないんですか!?」

「ごめん! やっぱ今日はやめとくっスわ!」

みわに電話してみよう。
それでやっぱり、お見舞いに行こう。

みわが辛い思いをしている時は、隣で寄り添うって、決めたんスから。



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