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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第73章 散華


それから暫くして、スズさんと合流した。

駅から少し離れたファストフード店に入る。
私は、和風テリヤキバーガーセットを注文。
……彼女の事が気になりすぎて、正直あまり食欲はないんだけれど……。

人通りの少ない窓際の1番奥、2人掛けの席にした。
さすがに、横浜駅のファストフード店で隣に人がいない席を選ぶのは無理そう。
隣にはイヤフォンをして何やら勉強している人が座っている。

私たちは席に着いて食事を始めても、無言だった。

「……スズさん、相談が……あるんだよ、ね?」

痺れを切らしてそう問いかけると、また彼女の肩がビクリと跳ねた。
しまった。
つい、性急な解決を意識してしまって……。

「あっ、ごめんね。無理に聞き出そうとしてるわけじゃないの。こころの準備が出来たら、ゆっくり話して」

「あっ、あの、先輩!」

何かを言いかけたその時、スズさんの鞄から大きな振動音。
スマートフォンだ。

一際大きく震わせた身体で、スマートフォンを耳に当てる。

「はい……はい……」

こくこくと頷きながらも、表情は晴れない。
晴れないどころか、ますます青くなっていく気がする。

一体、どうしたというの?

「……わかり、ました……」

そう言って、スズさんは通話を終了した。
そこからまた、無言タイム。

どうしちゃったの……。

ハンバーガーを包んでいる紙の、カサリという音ですら、ドキドキする。

それも、これは涼太と居る時のドキドキじゃない。
どちらかというと……悪い予感がする時の、方だ。

「……神崎せん、ぱい」

数分して、私の名前を呼んだ唇には、色が無かった。

「うん……」

「付いてきて、下さいますか」

震える手と唇。
放ってはおけない。

「行くよ」

そうとだけ告げると、ホッとしたような絶望したような表情が向けられた。

嫌な予感が、勘違いでありますように……。





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