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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第73章 散華


「そういやさ、部室の荷物ってもう片付けたっスか?」

下駄箱から出した上履きを乱雑に放り投げて、足を入れる。

今までは部室に全部置いていたから、下駄箱を使うのは入学した年の4月ぶり、だろうか。

「……あ、うん、私は年末に片付けたよ」

「うあ、サスガ。オレ、今日片付けよっかな」

……おや?

みわの荷物が、増えてる?
あの重たいカバンの他に、ビニールの巾着袋のようなものを下げている。
なんか、下駄箱の荷物でも片付けたんスかね?

他愛もない話をしながら教室に入ろうとすると、みわがその手前で立ち止まった。

「私、ロッカーに荷物入れてから行くね」

「ん、リョーカイ」

1人寂しく教室に入ると、男女様々なクラスメイトからの挨拶を受ける。
とりあえず面倒臭いから、デカい声でオハヨと言って、個人への返答はごまかした。

黒板に目をやると、プリントがマグネットで貼り付けられていて、ぶっとい矢印とともに【今日提出!】の文字。
おっと、そういやそんなのあったな。

ロッカーに入れたまますっかり忘れていた事を思い出し、みわがいるであろう廊下へと戻った。

「あれ? 涼太?」

みわは既に荷物を入れ終えたらしく、ロッカーにカギをかけていた。

廊下のロッカーは、各自用意したカギをつけることになっている。

まあ、自由だから、付けてないヤツもいっぱいいるし、ダイヤル式のカギを付けていても、数字をひとつずらすだけで開くようにしてるヤツもいる。

オレは、プレゼント対策にダイヤル式のカギをつけてる。
最初はみわの誕生日を設定してたけど、どうやら推測できたらしく、勝手に開けられてる事があったので、今は笠松センパイの誕生日にしてる。

本人が知ったら怒るっスかね?

ロッカーを開けると、もう既に記憶のないプリントやら、ロクに書いてないノートやら、誰から貰ったのか分からないプレゼントやらが詰め込まれていた。

いや、オレが詰め込んだんだけどね。

これも、片付けなきゃいけないのか……。
はあとため息ひとつついて、違和感に気が付いた。


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