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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第19章 夏合宿 ー2日目ー


冷たい……。
涼しくて、気持ちいいな……。

首に誰かの手が触れている感覚がある。
黄瀬くんの手じゃない。もう少し小さい……。

目を開けると、笠松先輩の顔が視界に入ってきた。

「おう、起きたか。熱は下がってるみたいだが、気分はどうだ?」

「あ、大丈夫です……起き上がれそうです」

「これ飲んどけ」

渡されたドリンクボトルには、黄瀬くんの名前が書いてある。

さっき、車で渡されたものだ。

「キツいだろ、夏合宿は」

「……そうですね……夏の暑さを、舐めてました。
もう少し、無駄なく動ければ消耗も少なくて済むとは思うのですが……」

「1年坊の割にはちゃんとできてるよ。
夜の仕事を少し減らして、無理しないようにしろよ?」

「申し訳、ありません……」

「今日、他の部屋には俺が顔出しするからお前はもう部屋で休め。食事は後で黄瀬にでも運ばせるから」

「いえ、先輩のお手を煩わせる訳には! もう大丈夫ですのでっ……」

慌てて立ち上がると、目の前が白くなってどちらが上でどちらが下かも分からなくなってしまった。

転ぶ……っ!?

「神崎!」

ぐるりと視界が回る。
どうやら倒れてしまったみたい……だけど、痛くない。

硬い胸の感触。
笠松先輩が下敷きになってしまっていた。

「す、すみません…! 先輩、お怪我はありませんか!」

「いて……急に立ち上がるなっての」

いつも黄瀬くんと並んでいると小柄に見えていた先輩だけど、こうしていると全くそんな事はなく、凄く逞しかった。

「みわっち! センパイ! 大丈夫っスか!?」

黄瀬くんが部屋に入ってくるのが見える。

「オイ黄瀬、ちょっと神崎起こすの手伝ってくれ……」

「起き上がったら転んじゃって……先輩、黄瀬くん、すみません……」

「気をつけなきゃダメじゃないっスか。
ってセンパイ、なんで顔赤く……はっ! みわっちの胸が当たってたんスね!?」

「うるせえよ黄瀬! 事故だから仕方ねーだろうが! シバくぞ!」

「もー! ズルいっスよ!」

黄瀬くんに身体を起こされ、布団の上に座った。

「神崎、も、もう戻れるなら部屋でゆっくり食事しろ」

「あ、いえ、ちゃんと食堂に行こうと思います」

「オレも付き添うっスよ」

「……黄瀬、頼んだぞ」


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