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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第73章 散華


え……?

どういう、こと?


暗闇の中、目が痛いほどの光を発しているスマートフォンに映し出された、文字。

意味が。


わから……な、い。




死を、望み……ます?



私、の?

ぐるぐるぐるぐる、回っているのは目なのか、思考なのか。

良くなったはずの頭がくらくらする。

それが、お母さんの、本心だったの?

私の記憶の中で、お母さんの笑顔は……ない。

それは、私が忘れてしまった訳じゃなくて、私はお母さんに憎まれ、疎まれていた……?


"どうしてあんたみたいな女が生きているのか"

悪夢の中で言われた言葉は、現実のものだった?



「みわ」

「わあっ!」

突然感じた人の気配で、驚き仰け反った。

「スマホの光が見えたから……目、覚めた? 体調はどうスか?」

暗闇の中で顔こそ見えないけれど、聞き慣れた優しいその声に、ドクドクと脈打っていた心臓が沈静化していくのを感じる。

涼太が電気の紐を引くと部屋中に明かりが満ち、その眩しさに、思わず目を細めた。

「あ、眩しいっスね、ごめん」

はは、と笑いを零した涼太の動きが、一瞬止まる。

その視線は、私のスマートフォンへと向けられていた。

「みわ? その花の花言葉……調べたんスか?」

明らかにその表情は強張っている。
もしかして……

「涼太、知ってたの?」

「……うん」

まさかの肯定の言葉に、彼の過去の発言が脳内でめまぐるしく再生される。

知ってて、お母さんに会いに行こうと言ったの?

どうして?

「みわ、きっと何かの間違いっスよ。花を贈る時に、花言葉まで気にするヒトなんてそうそういないって」

「そんなの、分からない、よ…お母さん、私のこと、嫌いだったのかな……邪魔だったのかな……いらなかったのかな……死んで欲しかったのかな」
「みわ!」

大きな掌が、頬を包み込んだ。
大好きなそのぬくもり。
麻痺してしまったみたいに、感覚がなかった。


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