• テキストサイズ

【黒バス:R18】解れゆくこころ

第73章 散華






「あら、みわちゃん」

「具合はどうだい、みわちゃん」

リビングに入るなり、ソファに並んでテレビを見ていた両親がみわに声をかける。

まるでオレは空気のようなスルーっぷりだ。
おまけに父親はいつの間にか"みわちゃん"になってるし。

「あの、もう大丈夫です。申し訳ありません、ご迷惑をお掛けしてしまって」

またペコペコと謝るみわの頬は、まだ少し赤い。

熱は下がり切っていないというのに、みわは、もう楽になったから下に下りると言ってきかないので、渋々連れてきた。

思ったよりも静かな室内。
それもそのはず、いつもウルサイあの2人……

「あれ、姉ちゃんたちは?」

「今、お昼寝してるわよ。みわちゃんも寝てるからって」

どうやら現在、黄瀬家はみわを中心に回っているらしい。

「みわちゃん、アイスでも食べる?」

「あっ、あの、お気遣いなく!」

「わたしが食べたいの。付き合ってくれるかしら」

「……あ、はい……すみません……」

母親がソファから立ち上がりキッチンに向かうと、父親もそれにくっついて、ダイニングへ移動した。

「涼太、来月またアメリカに行くんだって?」

「ああ、うん」

「みわちゃんも連れて行ったらいいじゃないか」

サラッとおかしな事を言うのがうちの父親だ。

対策は……相手にしないのが一番。

「結婚式は国内でやるのか? 時期が決まったら、早く教えてくれよ」

……。
みわは、母親と何かを話していて聞いていない。
ちょうど良かった。

「まだそんな段階じゃねぇから」

父親は腕組みをして、何故か得意げだ。
大抵こういう時は、ロクでもない事ばかり言う。

「そうなのか? モタモタしていると他の男に取られてしまうぞ。父さんだってな、涼太くらいのトシには……」

「2人が出会ったのは職場でだろ。オレくらいのトシには遊んでたんじゃねぇの」

「はっはっはっ、そういう事もあったかもしれないな」

……このヒトの血が流れてんのか、オレに。


/ 2455ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp