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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第73章 散華


「ったく……」

みわの事が大好きすぎる姉ちゃんに追い出された。
それだけだったら絶対に折れるつもりはなかったけど、みわまで姉ちゃんと話があるとか言い出すから、仕方なく。

みわは自分の事も顧みずにヒトのために頑張るから、心配なんスよ、特にこういう時は。

頑固な一面もある彼女、ハイハイとは聞いてくんないだろうけど……。

「あ、涼太こっちこっち」

諦めて冷蔵庫を物色していると、母親に手招きされて。

誘われて足を踏み入れたリビングはまた、フリマ会場と化していた。

「涼太これ、財布使う?」

上の姉ちゃんの手にあるのは、某有名ブランドの黒い財布だ。
しっかりした造りの箱に入ってる。
多分、正規品なんだろう。姉ちゃん、そーゆートコしっかりしてるから。

現地で安かったのだろうか。

「使う」

受け取って、ふと気付く。
あれ、今回の旅行って国内じゃなかったか?

「はい、遅くなったけどクリスマスプレゼント。財布、もうボロいでしょ」

「あ……アリガト」

「バスケの優勝祝いも兼ねて、ね。
ボーナス削ったんだから大事に使いなさいよ」

「ん」

姉ちゃん達は2人とも、なんだかんだとプレゼントをくれる。
働くようになったら、オレも返せるようになんないとな。

「最近アンタ、無駄遣いしないから。前は服だのアクセだの、ちょこちょこ買ってたのに」

「……金、貯めてるから」

姉ちゃんと母親は口元を緩めながらこちらを見ている。
くそ、なんかイヤだな。

「言っとくけど、ブランド物なんてこれっきりだからね」

「可愛い女の子をアクセサリー代わりに連れて歩いていた涼太がねえ……」

ねえ、うんうんと2人、目を合わせて頷いている。

どうやら過去の愚かな行いは全てお見通しのようだった。

なんとも居心地が悪く、目線をあちらこちらに泳がせていると、2階からガタガタという重低音が響いてきた。

「みわ!?」

反射的に、足が2階に向かっていた。


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