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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第73章 散華





「ただいま」

私は灰色の玄関のドアを開ける。
眼前に広がる、見覚えのある景色。

あ……

ここ。
昔の私の家だ。

駅からそれほど遠くないマンションの一室。
何階だったかは、記憶にない。

玄関から入って右手……リビングの手前、風呂場の向かい側にある和室が私の部屋。

リビングを抜けた先にも2部屋あったから、お母さんの部屋とは少しだけ距離があった。

もう1部屋はなんの部屋だったんだっけ……?

お母さんは、お仕事かな?
帰ってくるまで、宿題を済ませておこう。

自分の部屋に足を踏み入れると、なんだか懐かしい気持ちになった。

部屋の中央にあるテーブルには、いつもの白い花。

お母さんがよく買ってくれる、可愛い花だ。
嬉しいな。
また、買ってきてくれたんだ。

新しく仲間入りしたその子を、出窓に並べる。

既にそこには、母から貰った同じ花の鉢がひしめき合っている。

今度、大きなプランターに植え替えようかな?

そんなことを考えながら、鞄を机に置いて中からノートや教科書を取り出すと、玄関の気配に気がついた。

……人の声が、する。
誰かが帰ってきたみたいだ。

お母さん?
でも、笑い声がする。
ひとりじゃない……みたい。
男のひと……?

お母さんは、仕事に行ってるんだよね?
なんだか、頭がボーッとして分からない。

そんな事を考えながら手元のシャープペンシルを見つめていると、部屋のドアが開いた。

「は〜い、こんばんは〜」

数人の、男性だった。
呂律が回っていないところを見ると、酔っ払いだろうか。

「こんばんは……」

恐る恐る返事をしたけれど、何も返ってこない。
聞いているのかいないのか。

お母さんの会社のひとたち?

お母さんはどうしたんだろう。

そもそも、今日は何月何日?
今は、朝? 夜? 一体何時なんだろう。
こんばんは、なんだから夜なんだろうか。

「みわちゃんだっけ?」

男のうちの1人が、笑いながら近づいてきた。

知らない、ひとだ。

怖くて怖くて、部屋の隅にまで逃げ込んだけれど、すぐに捕まってしまった。

男たちは、笑いながら私の衣服を剥いでいく。

みわ

笑いながら

みわ

楽しそうに

みわ




なんで、こんなことするの?



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