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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第19章 夏合宿 ー2日目ー


不本意ながら、宿から体育館までのランニングは、行きも帰りも認められなかった。

イライラは募ったが、みわっちと同じ車に乗れるから、まだ救いがあった。

後部座席で窓に寄りかかっているみわっちが見える。

宿に着いて、練習中にダウンした2人が先に降りたが、みわっちはまだ目を覚まさない。

先に、荷物を降ろしたほうがいいかな。
また夜も忙しいだろうから、少しでも寝かせておいてあげよう。

運転手から車のキーを預かり、玄関へ荷物を全て降ろしたところで、みわっちに声をかけた。

「みわっち、着いたっスよ」

肩を叩いて呼び掛けたが、返答がない。

「……みわっち?」

再び声をかけると、ゆるゆると顔を上げた。

「ん……ごめん、ちょっと……気持ちが悪くて……酔ったのかな……なんか、あついね……」

身体に触れると、服がじっとりと濡れている。
汗を大量にかいている。

「……みわっち、ちょっと……」

ちょっとこれ、熱中症じゃないスか。
みわっちが力なく倒れ込んできた。

「……今すぐ! 涼しい場所に移動するっスからね!」

慌ててみわっちを抱き、宿の玄関に駆け込んだ。

「センパイ! みわっちが!」

入り口に誰がいたのかさえ、覚えてない。

すぐに誘導され、涼しい部屋でみわっちを寝かせた。

彼女の荷物をゆっくり探している余裕はない。
Tシャツを脱がし、汗を拭いてオレの替えのTシャツを着せた。

「みわっち、下着緩めるからね」

ブラジャーのホックを外し、スポーツドリンクを飲ませて横たわらせ、誰かが持ってきてくれた氷のうで身体を冷やす。

「黄瀬、症状が良くならないようなら監督に車出して貰って早めに病院に……」

笠松センパイの声だ。

「……だいじょうぶです……すみません、少し車に酔ってしまって…」

「みわっち、熱中症なりかけたんスよ。オレのことわかる? 自分の名前は?」

「黄瀬くん……大丈夫だってば……分かる、よ。
また、迷惑かけて……ごめんなさい……」

「神崎、しばらく安静にしてろ」

「……はい……」

センパイの言う通り、今はただ安静に。

「オレ、見てるんで」

「おう、メシ食ったら交代するわ」

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