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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第73章 散華



「……ねえみわ。オレがさ、事故かなんかで顔が潰れて、足がなくなったら、どうする?」

……咄嗟に口から滑り落ちた、なんて子どもじみた質問。

オレの価値がなんにもなくなったら、みわはどうする?

今のこの雰囲気なら、"それでも変わらずあなたが好き"としか返せない、誘導尋問だ。

どこまでも、ズルいヤツ。

「え……」

みわは少し考え込んでしまった。
オレを喜ばせる最善の答えを探してくれているんだろう。

「うーん……」

此の期に及んで、ごめん。

こんなバカみたいなイタズラみたいな質問でも、みわの気持ちが聞きたいんスよ。


少しの沈黙の後、みわは重くなっていた口をようやく開いた。

随分と悩ませてしまったらしい。

「涼太……賃貸物件で、バリアフリーの所って、どの位あるのかな……」

……へ。

「ち、賃貸? バリアフリー?」

オレが質問をしているのにもかかわらず質問で返され、更に全く想像もしていなかった単語が並べられて、頭の上には?マークだらけだ。

声が掠れてたから、聞き間違えた?
いや、間違えてないよな?

「だって、そうなったら車いすでの生活だけど、おばあちゃんの家はあの通りの古さだし、建て替える予定はないみたいだから……すぐに新しくお家を建てるって言っても無理だし、賃貸かなあって」

……いや、そうじゃなくて?

「あの、みわ、そうじゃなくてさ」

「うん、そうじゃなくて、もしおばあちゃんの家を……ってなったとしても、リフォームだって相当お金かかるもんね……ちょっと考えてみるね」

「待ってごめん、オレが悪かったっス」

「どうしたの?」

みわのマジメすぎる性格がこの流れを生み出したのか。

なんでそんな壮大な話になってんだ。

「いや、オレ的には、別れるかどうかって質問のつもりだったんスけど……」

「ええっ! 意味が分からないよ!」

天然系マジメちゃんのみわ、こういうトコロも大好きなんだった。

「別れるわけないじゃない! どうやって支えるのがいいのか、考えなきゃ」

こんなに真剣に考えてくれるなんて。

ニヤつく口元に気付かれぬよう、手で隠していると、みわが神妙な顔つきで続けた。

「でもね、涼太……」




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