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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第73章 散華



目が覚めると、薄暗い部屋の中、涼太の腕の中にいた。

カーテンから差し込む日差しがないところを見ると、夜明けまでにはまだ時間があるんだと思う。

油断しているとすぐ夢の中に引きずり込まれていきそうな意識をなんとか繋ぎ止めた。

声が、うまく出ない。
腰が重くて、痛い。

なんだか、満身創痍だ。

涼太が、ごめんって謝るのが、嫌で。
だって、ワガママを言ったのは私だから。

涼太の、全部が欲しいって。

「涼太、謝らないで……」

体勢を少し変えようと、身体を動かした途端、生理の時のように、自分の中から何か流れ出る感覚。

「あっ……?」

続いて太腿を伝う感覚に、これは涼太が放ったものが流れ出て来ているのだと気付き、途端に顔に熱が集まる。

彼の、熱い……

「みわ? 大丈夫?」

恥ずかしくて、顔が見れない。

「あ、うん、大丈夫……」

「ホント? どっか痛いんじゃないスか?」

心配そうに覗き込んでくる琥珀色の瞳。

「な、なんでもないの、本当に」

「ホントのホントに? 体調おかしかったら、ちゃんと言って?」

「うん、ありがとう。
でも、もう本当に……謝らないで、涼太」

涼太に愛された全身に纏うのは、幸福感だった。

軽率な事をしたのは、十分に分かっている。
でも、今だけはこの幸せに、浸らせて……。

「……ん、分かった。過ぎた事をゴチャゴチャ言ったって仕方ないっスもんね。これからは……ちゃんと、するから」

そんなの、わかってるよ、涼太。

だって、今までずっと大事にしてくれていたもの。

この事に限らず、涼太が私の事を大事にしてくれているのは、言われなくてもわかる。

壊れ物に触れるような触れ方、甘く優しい声色。

ずっと、ずっと大切にして貰っているから。

暫く、涼太の胸元に頭を預けて、彼の鼓動に耳を傾けていた。

トクントクンという心臓の音と、時計の秒針の音だけが耳に入る。



「……ねえみわ。オレがさ、事故かなんかで顔が潰れて、足がなくなったら、どうする?」

……すると突然、そんな不思議な質問が、耳に入ってきた。



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