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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第73章 散華



「なくした……も……の……?」

すっかり声は掠れてしまっている。

「そう……みわが失くした記憶……家族も、友達も、全部」

みわは、もう目も半分以上閉じていて……

「……」

「……みわ?」

抱き合っている内に、腕の中のみわは小さな寝息を立て始めた。

この調子だと、目覚めた時には会話の内容は覚えていないだろうな。

……いいんだ。
誓いの言葉を伝えるべきタイミングは、まだこれから、いくらでもあるから。



くったりと力の抜けて、関節が緩くなった身体を、折れないように、優しく抱き締める。

あれだけ激しく抱いたんだ。
みわの身体には相当な負荷がかかった筈。

「ごめん、みわ……」

そう思いながらも、この小さな宝物を深くまで愛し、全てを手に入れた幸福感を噛み締めていた。

しかし同時に、幸せな真っ白い布にシミのようにじわりと広がってくるのは、後悔の念。

襲い来る衝動に任せて、何てことをしてしまったのか。

避妊せずに挿入した上に、ナカで射精した。

いざという時には勿論、責任を取るつもりだ。

むしろ、オレは大歓迎。

……でも、そうするとみわの目標は?
彼女のやりたい事は?

みわを守ると言いながら、彼女の人生を狂わせかねない事をした。

未来が欲しいと言って、みわの未来を奪うような事を。

まだ、働いてもいない身だ。
中途半端な覚悟でしていい事じゃなかった。

ごめん、みわ。

こころの中で再び謝って、固く抱き合った身体を離すと、するりと繋がりを解いた。

「ん……」

みわが、軽く身じろぐ。
目は覚めていないようだ。

自身を蜜壺から抜いた際のぬるりとした感触に、思わずみわの足の間を覗き見ると、彼女の愛液とオレの精液が混ざったものが内腿を流れているのに気がつく。

その光景に、再び熱を取り戻すだらしない身体。

もう少し、このまま……。

火照りのおさまらない柔らかい身体を抱きしめて、鼻を擽る甘い香りをしばし堪能した。



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