第73章 散華

涼太が体重を移動すると、キシリとベッドが軋む。

その音がずっと遠くから聞こえてくるような感じがして、頭がぼうっとしていることに気付く。

「みわ」

「っ、あ……」

耳元で囁かれる、言葉たち。
優しく動く、指先。

……私だって、愛したい。

いつでも思ってる。
して貰うだけは、嫌だって。

私の気持ちも、届けたいって。

「涼太……」

吹き飛びかけている理性をなんとか持ち直して、震える指先を涼太の首筋に当てる。

とくん、とくんと頸動脈が脈打つのを感じると、安心感とともに、何故か興奮が煽られた。

撫でるようにして肌に触れていると、突然涼太が私の手を掴む。

「……は、みわ、その触り方……ヤバい」

乱れた呼吸の涼太が、愛しくて愛しくて。

私も、彼のを……したい。

力が抜けて震える身体を起こそうとすると、意図を汲んでくれた涼太が手伝ってくれる。

「みわ、ホントに、無理しなくていいんスよ」

「無理なんて……無理なんてしてない」

涼太がさっきしてくれたように、私も。

耳殻を唇で挟み、舌でちろちろと刺激する。

「涼太……だいすき」

舌で愛撫しながら、手は彼の身体をなぞっていく。

休む事なく鍛え続けられている身体は引き締まっていて硬く、でもしなやかで。

触れている私の方が、興奮して興奮しておかしくなってしまいそう。

「は、……っ、涼太、すき」

「ん……きもち、い」

小さく漏れた喘ぎ声が、色っぽくて。
舌で彼の身体を味わいながら、下半身の茂みに触れると、ピクリと反応を見せてくれる。

もう、そこには張り詰めたモノがあった。

私でこんなに興奮してくれたんだ。
嬉しい。

包むように触れると、涼太から苦しそうな声が漏れる。

その声に煽られて、私は更に大胆になっていった。