• テキストサイズ

【黒バス:R18】解れゆくこころ

第73章 散華


「……実家は家族いるし、手ぇ出さないって約束してたから、帰してあげないとって、ずっとガマンしてたんスけど……」

こんな事言われて、離せるワケないじゃないっスか。

「もう帰せないよ、いい?」

みわは、返事の代わりに、オレの身体にしがみつくように、強く強く抱きついてきた。





みわの肩を抱いたまま、逸る気持ちを抑えて2階まで上がってきたが、自分の部屋のドアは少々乱暴に押し開けてしまう。

ベッドの端に座らせたみわの身体は、いつもよりも細く見えた。

その大きな瞳には、オレだけが映っている。

隣に座り、再び肩を抱くようにして引き寄せると、みわが深く息を吐く気配がする。

「みわ、まだキンチョーしてんの?」

「ううん……なんか、突然あんなこと言って、涼太困ってるかなって……」

「ん?」

「一生、とか、なんか凄い重いこと、言ったかなとか、あの」

なんだ、そんな事を悩んでるのか。

「あの、その、軽い気持ちで言ったわけじゃないの。そんな、口で言われても信用できないって思われるかもしれないんだけど」
「思わないっスよ」

大体みわの考えている事は分かる。

あの姿を見て、信用出来ないなんて言うバカがいたら、見てみたい。

「みわのあの顔見て、そんな風に思うわけないっしょ。
ごめんオレ、目が覚めたっス」

……自分のトラウマを言い訳にして、みわの気持ちを疑っていた。

サイッテー、だよな。

こんなにオレの事を想ってくれている女の事を信用出来ないで、他に何が信じられるというのだろう。

オレがずっと欲しかったもの……ひとは、こんなにすぐそばに居てくれたのに。

「みわ、ありがとう。
オレホントにバカでさ……おんなじ事ばっかり繰り返して、ごめん」

みわの肩がピクリと動く。

「これから先、多分色んな事があると思うけど……みわとなら大丈夫って、そう断言出来る」

そう、何があっても。

……言いながら、年末のみわのお祖母さんとの会話を思い出していた。



/ 2455ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp