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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第73章 散華


「ウチの家族はさ、オレも含めてみんな、みわの事がスキなだけだから。
見返りなんて誰も求めてないっスよ」

「そ、そんな」

そんなの。
だって、私は家族じゃない。

「あえて言うなら、みわが元気で笑っていてくれるなら、それで誰も言うことないっス」

どうして、そんな事を言ってくれるの?
そんな事、言って貰える立場じゃないのに……。

「オレも、みわが笑ってんのが一番スキっスわ」

そう言ってはにかむ涼太は、本当におひさまみたいにぽかぽかして。

……嬉しくて、嬉しすぎて……

「私……涼太が、好き」

「うん」

「お母様も、お姉様も、まだお会いしたことはないけれどきっとお父様も、皆好き」

「うん」

その言葉を受け止めてくれた琥珀の瞳は、慈愛の色を宿している。

私にくれた大きな愛、少しでも返したくて。



「涼太、私は……誓うよ。
あなたをずっと……ずっと、想い続けること」

「みわ……」

「すぐ、信じられなくても、いいよ。
すぐ、信じられないと思う。
私、これから……一生かけて信じてもらえるように、なるから」

何バカな事言ってんの、って思われるかな。
それでもいい。
決めたんだもん。

このひとと一緒に生きたいって、そう思ったんだもん。

「みわ、ソレ……プロポーズ?」

……ん。
ぷろ……

「えええっ!? 違うよ!!」

「なぁんだ、違うんスか、はは」

涼太の瞳が、きらりと光って見えた。
……涙?

「はは、あー、なんか、笑いすぎで涙出て来たっスわー……」

笑って……る?
泣いて…………る?

「りょう……た?」

「ホントにさ、みわには毎度……なんつーか……参るわ……」

「あっ、でも、涼太が私を必要としなくなったら、すぐに言って。
涼太の負担になるくらいなら、死んだ方がマシ」

涼太は無言で、席を立った。
彼が起こした微かな風が、お菓子の箱を揺らす。

「みわ……」

大好きな腕に抱き締められ、今度は甘い声が鼓膜を揺らした。



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