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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第73章 散華


「大丈夫だよ、1人で帰れるから」

「そういうワケには行かないっスよ。
どうすっかな、オレも寮戻るかな……」

涼太はコートを手にしながら、迷っている様子。

……本当は、まだ、一緒に……居たい。


「もう寒いから、涼太はおうちに居たら?
私、ちゃんと駅までの道も分かるし……」

「あ、みわは夕飯どうすんの?」

実は緊張感から解放されて、ますます空腹を感じていた。

「あ、何か……買って帰ろう、かな」

帰り……たく、ない。

「んじゃオレも、なんか買いに行くっスわ」

結局、2人で家を出た。

……涼太が引き止めてくれる気配はない。

当然だよね、お姉さん達、帰って来ないんだもん。

おばあちゃんにはご飯を食べて帰るって言ってあるから、今から変更したら気を遣わせてしまうだろう。

うん、夕飯は買って帰ろう。

もやもやした正体不明の気持ちを抱きながら、2人で近所のコンビニに足を踏み入れた。






「いらっしゃーせー」

いまいち覇気の無い気だるげな店員さんに挨拶され、店内を歩き始めると、外との寒暖差に顔の中心が熱くなる。

「みわ、ハナ真っ赤」

くすくすと子どものように笑われて、ドキリと胸が騒いだ。

「あっ……な、何にしようか、な」

最早わざとらしいほどのカタコトになり、ショーケースの前を不審にウロついてしまう。

コンビニでお弁当とかって、あまり買った事がない。

食費のためにお弁当は基本、手作りするし、たまに買う事があっても、コンビニよりもスーパーのお弁当の方が安いから……。

お弁当売り場の前で立ち止まって物色してみるものの、ピンとくるようなものがない。

涼太も、逞しくも細い腰を折り曲げて、うーんと悩んでいる様子だ。

「……みわ、食べたいものある?」

「えっ……うーん、それが、あんまりなくて」

あっ、そぼろ弁当。
まあ、これ……かな。

そのお弁当を手に取ろうと手を伸ばすよりも僅かに早く、涼太が言葉を紡いだ。

「なんかさ、やっぱどっか食いに行こっか」




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