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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第73章 散華


みわが選んだゲーム。

ウイルスに感染した人間達がゾンビ化して襲ってくる……ガンアクションのシリーズモノの第5弾。

オレは1からやっているが、5は今までのものよりも操作性が向上し、明るいステージなどの戦闘も増え、恐怖という面では少し和らいでいる気がする。

それでもやっぱり期待してしまう、『きゃっ、怖い! ガシッ!』そんな流れ。

……しかし。

「涼太、私、手榴弾持ってるよ!」

「リョーカイっス、その裏に隠れてる奴ら、仕留めて!」

「はぁい!」

みわが、意外にかなり上手い。

また努力家な部分が顔を出して、あきサンとやる時に猛練習したのだろうか。

甘い雰囲気など一切なく、ひたすらゾンビ達を駆逐していくオレとみわ。

これはこれで、楽しい時間。
一所懸命にコントローラーを握る姿は、普段見られない顔。

意外な彼女の一面を見れた。



昨日から思い通りにならない事ばっかりだ。

色んな感情に振り回されて。

……でも、今の自分、嫌いじゃない。

何不自由なくやっていた時代が嘘のように、気持ちが揺れる。
自信がなくなる。

少し前のオレが聞いたらぶっ倒れそうな状態だけど、悪くない。

大切な……本当に大切なひとが、出来たから。




「涼太凄い! SSだって!」

ステージをクリアした時のスコアによって割り振られるランクが、SS……つまり、最高ランクだった。

「やったね! お疲れっス!」

幾度となくそうしてきたように、拳と拳を合わせた。

触れたみわの拳が驚くほど冷たくて、一瞬固まってしまう。

「あ……っ、ごめん、なさい」

みわも意識しているのか、パッと拳を離し、ガラステーブルの上に置いてある紅茶を手に取った。

ふう、と吐く息とともに、ふんわりと香るアップルティーの香り。

纏わり付く欲を振り払うように、強く頭を振った。



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