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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第72章 悋気


「さっきも言ったっしょ?
俺は真ちゃんに救われたって」

そう言う高尾さんは、とても嬉しそうだ。

うざったいと言いたげな緑間さんも、高尾さんを見守るような優しげな瞳。

信頼し合っている、それが良く分かる。

私だって、涼太の事を信頼しているし、私も彼に信頼されたいのに、抱くのは嫉妬のような醜い感情ばかり。

いつも考えてしまう。

これって、相手の事を心の底から信頼出来ていないということ?
って。

もっと、どんな事があってもどっしりと構えていたいのに。


「嫉妬するイコール、信頼してないわけじゃない。そこ、履き違えないようにしないとっすよね」

私のこころの中を読んだような高尾さんの、その意外な言葉に、目を剥いた。

「信頼してないわけじゃ……ない……?」

「嫉妬ってさ、相手を強く想うあまりに抱いちゃう気持ちだから……あって当たり前の感情なんすよ」

当たり前の……そんなこと、考えた事もなかった。

「だからさ、それを受け止めてくれる大切な人の言葉があれば、何の問題もないわけよ」

受け止めて……くれる、言葉。


「ただ、それを受け止めてくれる人がいないと、黄瀬クンの抱いた感情は、ただのちっさいオトコのヤキモチになっちゃうけどね」

「はは……笑えないっスわ」



「……そっか……」


当たり前の、気持ちなんだ。

今まで、なんて言われてもピンと来なかったけど、誰よりも信頼し合っているこの2人に言われた言葉は、すとんとこころの中に落っこちてきた。

「……高尾さん、ありがとうございます」

「なんのなんの。こんなんで役に立てるならお安い御用。
神崎ちゃんは、黄瀬クンの事が好き?」

「ちょ、高尾クン、何言って」

「……好き、大好きです」

大好き。
涼太の事が、世界で一番、すき。

「……みわ」


テーブルの下で、寄り添ってきた大きな手と指を絡めた。



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