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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第72章 悋気


「逆上せたんだって? 大丈夫すか?
神崎ちゃんが血相変えて飛び込んできたから、驚いたぜー」

高尾クンは、どこか嬉しそうだ。

「おかげさまで、復活っス」

「すみません……ありがとうございました」

みわはだいぶ恐縮している。
どれだけ焦っていたのか。

改めて、自分の失態にため息をついた。


「もう色々落ち着いたみたいで、良かった。
黄瀬クンって、意外に嫉妬深いんすね」

挑むような、全てを見透かしたような目つきの彼……高尾クンも、赤司っちと同類のニオイがする。

ポイントガードって、皆こんな感じなんスかね?

と思いつつも、海常ブルーを背負ったセンパイを思い出し、違うタイプもいるか、と考え直す。

嫉妬深い、か。
少し前のオレなら考えられない単語だけど、今のオレは……嫉妬深い男だ。

……嫌な言葉だな。

「……そ、っスね」

「黄瀬クン女のコ慣れしてそうだし、意外だった。
ちょっと親近感湧いちゃったっす」

「……親近感?」

嫌悪感、の間違いじゃなくて?

変人緑間っちの相棒は、やはり変人ということか。

「あ、なんか腑に落ちねーって顔してる」

「腑に、落ちないっスよ。なんスか、親近感って」


「だってさ、妬くのなんかトーゼンだろ?
それだけ、色んな気持ちが詰まってりゃさ」


妬くのが、トーゼン?
みわも、少し驚いた顔をしている。

「高尾クンも、妬く事あるんスか?」

「いやー……俺も去年の夏の、Jabberwockとの試合、あったっしょ。
あん時さ、赤司クンが、俺の代わりに真ちゃんと連携プレーした時……思ったもんね」

そうか、嫉妬というのは、男女間だけではなく仲間内でも、あるものなのか。

確かに、笠松センパイがオレ以外のエースを頼りにしてゲームメイクしてると思うと、なんか癪に触る。

いや、あのヒトはもう大学でプレーしてるから、当たり前なんだけど。

「でも同時に思ったんだよ、真ちゃんとの連携は、やっぱ俺が一番だって。
ちっせープライドかもしんねーけどさ」

そう言う高尾クンは、醜いとは対極の、美しく強い瞳だった。


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