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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第72章 悋気


「早かったな」

部屋を出て行くと、意外といった様子で、赤司っちは眉を上げて微笑んでいる。

「喋ってただけっスもん」

「へえ、そうだったのか」

含みのある言い方だ。

そうそう赤司っちの思い通りにはならないっスよ。

……いや、みわの制止がなければ、今頃赤司っちの思い通りだったか。クソ。



「あの……赤司さん、青峰さんに空き部屋を聞かれましたか……?」

みわは、なんとしても青峰っちと桃っちをふたりきりにしたいようだ。

「ああ、聞かれたが、生憎今は空いている部屋がなくてね、断ったよ」

「そうなんですか……!」

……空いている部屋がない?

ウソだ。
オレが旅館内を歩いた時、こちら側の建物の中だけでも、相当な数の客室があった。

ここは貸し切りだという赤司っちの発言からして、あの部屋たちに客が泊まっていたとは考えにくい。

赤司っちはホント、なんでもお見通しなんだろうか。

「それで、青峰さんはどうされたかご存知ですか?」

「丁度桃井が部屋から出てきたところだったから、何か2人で話していたようだが……申し訳ないが、その後は知らないな」

「そうですか! ありがとうございます!」

みわは、小さくガッツポーズをしている。

「じゃあ、桃っちの部屋に昼メシの事、声かけてきた方がいいっスか?」

親切心からそう言ったのだが、赤司っちは首を横に振った。

「いや、その必要はないよ」

「……そっスか?」

みわも赤司っちも、一体なんなんだろうか。




食事処に行くと、緑間っちと高尾クンが既に席についていた。

「おっ、おふたりさん! 先にやってますよ〜」

まるで宴会会場での一コマのようなセリフは、高尾クン。

慣れているのか、緑間っちは何も言わない。

みわと一緒に、彼らの正面の席に着いた。


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