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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第72章 悋気


みわの表情が、曇った。

なんで分かってくれないの。
そう言っているかのようなカオ。
困ってる、カオだ。

笑ったカオが、見たい。

さっきは、舌を出していたずらっ子のような表情を見せてくれた。

知らないみわを見つけるたびに、どんどん好きになって、止まらない。

それと同時に湧き上がる不安感は、未だに存在する。

自分のせいでさっきは中断になったけど、あのまま……オレと、何もつけずに、繋がれた?

そう聞けば、みわは首を縦に振るだろう。

みわが、オレのお願いを断れないのは、よく知っている。

知っていて、いつも無理をさせてるんだ。

そんなの、いつまで続く?

……またこんな事を考え始めてしまった。

目の前のみわの表情が怖くて、彼女の本心を聞くのが怖くて、身体が鉛のように重い。

「……涼太」

「……ウン」

最終宣告を聞くのが、怖い。




「あの、帰ってから、ゆっくり……しよう?」

でも、みわの口から漏れたのは、非難でもなく怒りの言葉でもなかった。

「涼太に、伝えたいこと……いっぱい、あるの。こんな所で、短い時間じゃ……足りない」

「……みわ」

何?
伝えたい事って、なんスか?

悪いコト?
いいコト?

今、ちょっとだけ聞いちゃダメっスか?
……みっともねー。

「……ん、分かったっス。
ゴメンね、またがっついて」

「そ、そういうんじゃないの。ほら、ここだと、またいつ誰が来るか、分からないし……!」

「ん、そっスね」

これ以上醜い部分を見られないように、みわの胸元の乱れた浴衣を、そっと直した。

「ごめんね、涼太」

「また謝った」

「あっ……」

どうしたらいいか分からずに俯いているみわの頭を撫で、ベッドから下りた。

「ま、確かにここじゃ、また邪魔が入りそうっスもんね」

そう言うや否や、コンコンとノックの音が響きわたる。

「黄瀬、神崎さん、早めの昼食でもどうだ?」

状況を分かってるんだか分かってないんだか、赤司っちの涼しげな声がドアの向こう側から聞こえてくる。

「やっぱり」とでも言うかのように、2人、目を合わせて笑った。



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