第72章 悋気
乱れた息をなんとか整えようとしていると、つぷりと、涼太の指がナカへ侵入してくる。
膝を閉じようにも、涼太の身体があってどうにもできない。
「すげ……ビショビショっスね……興奮しちゃった? みわ」
下半身に痺れのような感覚が走り抜ける。
「まっ、……んん」
再び涼太の唇で、私の唇が塞がれた。
「……っ!!」
気持ちが良い所を全て知り尽くされた指に、蹂躙される。
声、声を出しちゃ絶対にダメ。
自分の声に煽られて、快楽の波にのまれていくのが目に見えてる。
でも、声を抑えようとすると、その力が全て身体に回ってしまうかのように、腰が勝手に揺れてしまう。
「っ……は」
頭の中まで掻き回されてるみたい……。
も、もう、だめ……
きもち、い……
も……
挿れて……
そう、口から零れそうになって
「オイ黄瀬、あのさ」
突然、視界が開けた。
薄暗い布団の中で目の前に涼太しかいなかったのに、今は彼ごと光に包まれている。
……え?
ちょっと、まって?
何が、起こったの?
視線の先には、驚きで目を見開いた……
青峰、さん?
「……あ、ワリ」
ちょ
ちょっと?
「ちょっと青峰っち! 中も確認しないで布団剥ぐとか、アリエナイっしょ!」
え?
「取り込み中だったんか、悪かったな」
「取り込み中も取り込み中っスよ!
散々ガマンして、これから挿れるってトコなのに何してくれてんスか!」
「バッ……こんなトコでまさかヤろうとしてるなんて思わねーだろーがっ!」
「分かるでしょ! フツー!
こんだけ布団が盛り上がってりゃ!」
うん、おかしいなって、思うよね普通、ってそうじゃなくて。
まるで漫才のような掛け合い……でも、ぜんっぜん笑えない。
「ちょっ、えっ、きゃあああああ!」
見られた!
見られた!
焦って浴衣の前をかき合わせる。
よ、よりにもよって、大股開きで涼太にしがみついてるところ!!
見られた、よね!?
「落ち着け神崎!
お前の善がってるカオなんて見てねーから!」
「青峰っち、それ見たって言ってるようなモンっスよ! 忘れて! 今すぐ忘れて!!」
もう、灰になってサラサラと飛んでいきたい。