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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第19章 夏合宿 ー2日目ー


洗面所で、唇を洗う。
何度も、何度も擦った。

たった1回のあのキスで、今までの黄瀬くんとのキスが全部汚されてしまった気がした。

唇が切れて、血だらけになっても洗うのを止められなかった。




……身体が痛い。
目を開けると、ユニットバスが目の前にある。

昨日はあのまま泣きながら座り込んで、そのままバスタブにもたれかかって眠ってしまっていたようだ。

「……ひどい顔……」

鏡に映った自分を見て、驚いた。
泣き腫らした目に、裂傷だらけの唇。

今、何時だろう。
時計を見ると、まだ3時台だった。

疲れている割に眠りが浅かったのは、昨日の1件のせいだろうか。

なんとか起き上がり、部屋に戻る。

泣いたせいか、頭がガンガンする。
ベッドに潜り込み、冷たいタオルを目元に当て、眠気が訪れるまで嫌な記憶と戦う。

私に、隙があったんだ。
あそこで予測して予め逃げられなかったのは私のせいだ。
私が、悪いんだ……。

胸が締め付けられる。

ごめんなさい。
ごめんなさい、黄瀬くん。
ごめんなさい……。

涙が次から次へと流れてくる。
興奮状態になってしまい、なかなか寝付くことが出来なかった。


結局熟睡は出来ないまま朝を迎えてしまった。
目の腫れは目立たなくなっていたので、ひとまず安心。

部屋を出ると、ちょうど黄瀬くんが部屋から出て来たところだった。

「みわっち、おはよう。
オレ結局、昨日寝ちゃって……って、唇、どうしたんスか!?」

「あ、おはよう。あの、切れただけ。なんでもないよ、大丈夫」

目が合わせられない。
逃げるように食堂へ走った。

食事をするたびに、傷が痛む。
これは、自分への罰なんだ。



食事が終わり、少し時間を置いたらすぐに練習が始まる。

体育館まで選手は走り、私は車で荷物共々運んで貰うため、荷物を取りに部屋へ戻る。

部屋を出ると、黄瀬くんが目の前に立っていた。

「みわっち、これ、唇切れた時に効くやつだから」

優しく手を握られ、リップのようなチューブを受け取った。

「ありがとう、借りるね……」

目が合う。
この目を見てしまうと、逸らせなくなる。

「あ、あの……」

「みわっち」

手を握ったまま、黄瀬くんは寂しそうに微笑み、何も言わずに行ってしまった。

黄瀬くん……?
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