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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第72章 悋気


みわがイタズラを成功させた子どものように、舌を出す姿があまりに可愛くて。

広げた布団の中に引きずり込み、その唇を、差し出された舌ごと呑み込むようにして奪った。

「っ……ぁ」

重なり合う唇が、舌が、濡れていく。

抵抗している内に入るのだろうか、力なくオレの腕を掴むその姿にどんどん煽られ、燻ったままの炎が、再燃してくるのが分かる。

目の前の彼女が、蕩けていくのが堪らない。

「りょ……た?」

「ッ、は……みわ……」



全部、オレの。




「キスってさ、すげぇっスね」

唇を離してそう語り出すと、みわは無意識のうちにオレの唇を求めて赤い舌を覗かせている。

「ん……?」

「だってさ、口って、呼吸したり、食事したり、話したりするんだから、メチャクチャ大事な部分じゃないスか」

「……うん……?」

ぽーっとして、オレが言ってる事の半分も伝わってないような表情。

いいんス、独り言になっても。
腕の中の熱を感じられるから。

「それをこうして塞ぎ合ってる、っていうのが、特別だなって思ってさ……」

「ん、っ」

みわがオレの肩を押し返して、逃れようとしている。

「だめだよ、青峰さんっ……戻ってくるって、いってた」

「ダメ……みわ、抵抗しないで」

「だ、だめだって……」

そう言ったみわの腕に、もう力は入っていない。

狭くて薄暗い布団の中の酸素は、どんどん無くなっていくようだ。

「みわ、ねえ、青峰っちにキスしたでしょ?」

蕩けていた大きな瞳が見開かれる。

「それは、さっき言ったはず、じゃ」

「うん、聞いたっスよ? 青峰っちのほっぺたにキス、したって」

「えっ、キスじゃ、ない……ン!」

唇だろうが歯だろうが、オレ以外の男に触れたなんて、例え頬だってイヤだ。

オレを刻み付けるように、そのぽってりとした艶やかな唇に噛み付いた。




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