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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第72章 悋気


私を包んでいる、この感触……
この白くてフカフカしたものは……
お布団?

どうやら私は今、布団にくるまれているようで、床に落ちたペットボトルどころか、前すら見えない。

なんで?

「えっ、あれ? ちょっと?」

ジタバタしようとしても、その力は布団に吸い込まれていくかのように、手応えがない。

「涼太、ねえ涼太、でしょ?」

犯人はそれしか考えられないけれど、何にも言ってくれないのがちょっと怖くて。

「涼太、ごめん、私何かした?」

また、怒らせてしまったんだろうか?

ジタバタするのをやめて布団の向こう側に意識を向けると、ぎゅっと力を込められた感覚。

「ねえ、涼……」




「みわ、謝んないで」

「えっ?」

何?
謝らないで……?

「みわ、すぐ"ごめん"って言う」

「えっ、あ、ごめんね」

「ほら」

「あっ、えっ……と」

「ね、謝んないで」

「……はい」

なんで、そんな事突然言うの?


「みわ、オレこそ、さっきはごめん。
調子乗ってのぼせるとか、カッコわる……」

「そんなの気にしてないよ。体調はどう?」

「ん。寝たらマシになったっス」

……って、布団越しでの会話。
これ、いつ離してくれるの?

さっきから私、簀巻き状態なんだけど……。

「涼太、これ、なに?」

「ん? 捕獲アミ的な?」

捕獲アミって……サカナ?

「ねえ、離して」
「ヤダ」

「ヤダって……」

「も、捕まえたから、みわはオレの」

ほんと、どうしたの?
まるで子どもみたい。

「……こんなことしなくっても、私は涼太のものだよ」


「ホントに?」

まだ、不安?
さっき……途中、だったから?

「うん、本当に」




少しだけ、ほんの少しだけ間があって、またぎゅっと抱きしめられる。

「みわ」

声色が、変わった。

こんなの、やだ。
その瞳を見て伝えたい。

「涼太……苦しい。息が、出来ないよ……」

「っ、みわっ」

バッと、力が緩んで解放される。

視界が開けた先に見えたのは、心配そうに揺れる琥珀色の瞳。

「ウソ。……こう言えば、優しい涼太は離してくれるかなって」

あなたお得意の舌をぺろりと出す仕草、真似してやるんだから。



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