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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第72章 悋気


「ヘンタイ、スケベ、バカって言って叩いちゃったから……大ちゃん、怒ってると思う。
嫌われたよ、絶対」

そ、それはまた……。
青峰さん、踏んだり蹴ったりだったみたいだ。

いやいや、突然の事とはいえ、そんな事をした彼も悪い。



……こんな言い方は失礼かも知れないけれど、悩みというのは、案外第三者からしてみたら、そんな事でって思うものなのかもしれない。

当事者になってみたら、悩んで、もがいて、苦しんで。

そう思うと、悩んだ時に誰かに相談するというのは、大切なことなのかもしれないな。

その悩みを聞いてくれるひとがいるというのも、本当にありがたい事なんだ。

改めて、思い浮かぶたくさんの人たちに感謝。

私も、相談してくれたさつきちゃんの背中を、少しでも押せれば。

「さつきちゃん、青峰さんは、そんな事でさつきちゃんの事を嫌いになったりしないよ」

「どうして、分かるの?」

「上手く説明出来ないけど、分かるよ。
外から見てる私だからこそ分かることっていうのもあると思う。……信じて欲しいな」

さつきちゃんは、少し考え込んだ後に、小さくこくりと頷いた。

「ありがとう。みわちゃんの言葉なら……信じられるよ」

「こちらこそ、ありがとう。
……で、青峰さんには、謝る、よね……?」

大きな瞳が、右、左。
ぐるっと下に回って、ゆっくりまばたき。

「うん、ちゃんと、謝る」

噛みしめるように、そう言った瞳は既に緊張感を纏っている。

「私に協力出来ること、あるかな?」

「ううん、なんとか頑張ってみる!
もし、ダメだったらまた相談してもいい?」

「うん、いつでも聞くよ」

「ありがとう!」

そう言ってくれたさつきちゃんは、優しい笑顔だった。

そこまで立ち話をして、ふと気付く。

「あっ、お蕎麦の事、忘れてた」

そうだ私達、赤司さんに頼まれて年越し蕎麦を取りに行くんだった。

「みわちゃん……ごめんね。
実は、みわちゃんとふたりきりになりたいって、赤司君にお願いしてたの。
お蕎麦は後で旅館の人が届けてくれるって。
戻ろう」

……赤司さんが用意してくれた場だったのか。


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