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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第72章 悋気


「ずっと、悩んでたの……わたしは本当は今、誰の事が好きなのかって。
あんなに、テツ君テツ君言ってたのにね」

さつきちゃんは、自嘲めいた口調でそう言った。

「それは……その時の気持ちだって、本物だったと思うよ。責めなくて、いいと思う」

むしろ、黒子くんの事だって、本気で好きだったから悩んだんだろう。

悩んで悩んで、苦しんで。
その気持ちに正解不正解はないよ。

「ありがとう。本当の気持ち……今まで、もしかしたらってうっすら思ってた気持ち……気付いちゃった。大ちゃんが誰かと付き合うなんて、耐えられない」

「さつきちゃん、良かった」

これで、青峰さんともうまくいくはず。
だって、2人は両思いなんだから。



「でも……大ちゃんには、もう嫌われちゃったかもしれない。
さっき、思い切りひっぱたいちゃったし」

そうだ。
温泉での出来事。
青峰さんは、何にもなかったって言ってたけど……。

「さつきちゃん、温泉で何があったの?
どうして、青峰さんを叩いたの?」

さつきちゃんは、俯いてしまった。
僅かに耳の端が赤くなっている事に気づく。

「混浴なの……知らなくて、露天風呂で大ちゃんと会って……そしたら、誰か来る気配がしたの。それで、咄嗟に隠れて」

ここまでは、青峰さんの話と同じだ。

「大ちゃんが、こ、こうやって、隠れたから……」

さつきちゃんのジェスチャーから察するに、青峰さんに後ろから抱き締められたカタチになったようだ。

青峰さん、さつきちゃんが他から見えないようにして隠れたんだろう。

それも多分、青峰さんは本当に無意識に、記憶もないくらい自然に。

「……それで?」

「だ、大ちゃんが、髪の匂い嗅ぐみたいに、こうやって鼻先を、す、スリスリってするから、なんかどうしたらいいか分からなくなって」

……青峰さん?

「こう、クロスした腕が、む、胸に当たってるし、なんか本当に、どうしようって混乱しちゃって」

……青峰さん、どこが"何もしてない"のでしょうかっ!!!?




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