• テキストサイズ

【黒バス:R18】解れゆくこころ

第72章 悋気


「さつきちゃん……私、なんか変な事言った?」

さつきちゃんは、肩を揺らして笑っている。
そんな、面白い事……言ったかな?

「あは……ごめんね、違うの。
前に、私がみわちゃんに言った事と同じ事、言われてるんだなって思ったらおかしくなっちゃって」

あ……。

そうだ。

あれは、いつだったっけ。

そう、涼太が私を好きになったきっかけについて、さつきちゃんに相談した時だ。

あの時さつきちゃんは、涼太の事を信じてって、そう言ってくれた。

「あはは……そっか、あの時のみわちゃんと同じ感じなのかな、今のわたし」

「うん、そうだと……思う」

さつきちゃん、あの時はこんな気持ちだったのか。

どうして、こんな風に不安になっちゃうんだろう。

いつもこうやって悩むけど、これはやっぱり……好き、だからだよね。

どうでもいいひとなら、こんな風に悩んだりしない。

私にとって、涼太はかけがえのない大切なひと。

さつきちゃんにとっての青峰さんも同じだ。

大切だから、失いたくなくて、怖くて。
つい疑って、自分を守って。

こんな醜い自分、嫌いだと何度思っただろう。

でも、もうやめよう。
もう、こんなのやめたい。

大切なひとの事、信じよう。

「そっか……ありがとう、みわちゃん」





「わたしね、大ちゃんと抱き合ってるみわちゃんを見て、気付いたことがあるの……」







「最初は、なんか胸がもやもやして……
何故か泣きたくなって、叫び出したくなって……なんでそんなになっちゃうのか、分からなかったんだけど……」







「分かっちゃった、の。
わたし、大ちゃんが……好き」



窓の外から聞こえる雨音のようなひっそりとした声で。

でも、その大きな瞳は強く、真っ直ぐに私に向けられていた。


/ 2455ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp