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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第72章 悋気


え……

思わず後ろを振り返る。

……オレ、男湯に入ってたよな?

みわの方へ向き直るのと同時に、赤司っちの顔を思い出した。

コレ、絶対赤司っちの仕業だ。

オレたちのこと、どこまで気付いてるか知らないけど、赤司っちの陰謀だろう。

「みわ、なんかまた混浴になってるっぽい。
誰か来る前に上がった方がいいっスよ」

「あ、うん」

そう言ってるのに、みわはぽちゃりと足を湯につけた。

そのまま、タオルを解いて湯船に入ってしまう。

……湯気でイマイチ見えなかった、なんてこんな時でも思うオレは、ホントに不謹慎だと思う。

きっと、寒いんだろう。
でも、他の誰かが来たら大変だ。

「多分、赤司っちの仕業。
オレ、出て赤司っちんトコ行って来るからさ、みわも脱衣所に戻って待ってて」

そうとなったら、急いだ方がいい。

「じゃ、オレ行くから」

返事を待たずにそう言って、頭の上に置いていたフェイスタオルを手に取り、上がるのと同時に腰に巻き付ける。

芯まで温まっていないからか、すぐに身体は冷えてしまいそうだ。



「涼太! 待っ……」

バシャン!



それだけ聞こえた後、激しい水の音がしたと思ったら、みわの声がしなくなった。

……ちょ、え、まさか!?

驚いて振り返り、先ほどまでみわが入浴していたあたりに目をやっても、その姿はない。

「ちょ、ちょ、みわ!?」

慌てて湯に戻り、ザバザバと熱い湯をかき分けるようにして進むと、みわが沈んでいるのが目に入った。

「みわ!!」

ちょ、マジっスか!!

とにかく無我夢中でその身体を抱き上げた。

「……ぷ、はっ!」

「みわ!! 大丈夫!?」

「げほっ、げほ、滑っちゃっ、て」

マジで、心臓が止まりかけた。

ホッとしてみわを見下ろすと、熱い湯のせいで紅潮した裸体が目に入る。

その色っぽさに、思わず目を奪われた。

「あっ……と、とにかく誰か来たらまずいから、オレ」

「……から」

「え?」

「誰も……こないから、平気、だよ」

みわは、オレの腕を強く掴んだまま、そう言った。



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