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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第72章 悋気




……オレの求めているものって、なんだろう。

行けばわかるって。
風呂に?

なんだろう。なにがあるんだ。
いくら考えても答えは見つからない。

当たり前か、今オレは自分自身ですら見失ってる状態なのに。

……行ってみようか。

そうだ、折角の温泉だし。
ゆっくり温泉に入って、試合の疲れを落として……

皆には悪いけど、先に始発で帰ろう。

うん、少し、ひとりで考えよう。
悪い頭には、考える時間が必要だ。

こんな深夜じゃ電車もないし、時間潰しにはちょうどいいじゃないか。
誰に言い訳しているのか分からない呟きを残して、風呂場に向かおうとする。

ふと、今まで一度も止めずにいた足を止めた。

「……赤司っちに道聞けば良かった……」






結局暫くウロウロした後に見つけた館内案内図のおかげで、なんとか部屋に戻る事が出来た。

部屋には、既にみわの姿はない。

あんな風にみわと話すのを拒否してしまって、また彼女を傷つけてしまっただろうか……。

いや、今考えるのはよそう。
考えても考えても悪い方向にしか行かないタイミングって、ある。

タオルや着替えなど一式を手にし、大浴場へ向かった。




しっかりと手入れされている脱衣所を抜けて、大浴場へと足を踏み入れようと、ガラス戸を開ける。

足元が殆ど濡れてないところを見ると、皆はまだ風呂に入っていないのか。

湯気に包まれた浴場はどことなく幻想的で、ラスボスでも出てきそうな迫力がある。

あたりを見渡しても、特に何か変わったものはないようだけど……。

一通り髪や身体を洗った後に、室内の浴槽に入った。

無意識に、ふう……と大きなため息をつく。

疲弊した筋肉を癒してくれるのと同時に、頭の中に渦巻いていた真っ黒いものが、皮膚から浸み出して溶けていくようだ。

「……やっぱいーっスわ、温泉……」

思わずひとりごちて、天井を仰ぐ。

……湯温は気持ちいいけど、もう少し眺めも楽しみたくなってきた。

すぐ前方には、露天風呂へのドア。

ザバッと勢い良く立ち上がり、部屋のフェイスタオルを手早く腰に巻きつけて外へ向かった。




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