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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第72章 悋気


分かってる。

ホントは、分かってる。

自分以外の誰かを、自分のものにしたいだなんて、間違ってるってこと。

そんな権利はないし、誰が誰を想おうと、それは自由だって。

みわを大事にしたい、大切に守っていきたいといつも思っているのに、ちょっとした事でこうして悩んで、傷付けて。

こんな自分は、彼女の側にいるのにはふさわしくないんじゃないかって。

黒子っちみたいに、影として支えてあげられるわけでもない。

緑間っちみたいに、頭が良くない。

紫原っちみたいに、自由でこころが休まるような空気もない。

赤司っちみたいに、ひとの気持ちが手に取るように分かるわけでもない。

青峰っちみたいに……強くない。



フタを開けてみれば、劣等感だらけだ。

オレはどうだ?
ちょっと普通より外見がいいだけの、空っぽな人間。

今、みわは、何を考えているんだろう。

こんな気持ちでしたキス、集中なんか出来るわけない。

ひたすら気を引くように、啄むように唇を重ねているだけだ。

思い切り力を込めて抱き締めたみわが、押し返すような抵抗を見せた。


あぁ……

そうだよな……

サイッテーな事、した……。

ガキの仕返しみたいに……。



みわが青峰っちの事を好きになったのなら、彼の前で見せつけるようにしたこの行為は、みわを酷く傷付けるものだろう。

でも、傷付けてしまいたいという歪んだ欲が顔を出す。

傷付けて、傷付けて、オレのこと、忘れないでって。

オレの名前を呼んで。





「青峰さん……」

でも現実には、オレの唇から解放されたみわは、静かな声で彼の名前を呼んだ。



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