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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第18章 夏合宿 ー1日目ー


「それでは先輩、私はこれで……」

唯一起きている笠松先輩に小さな声で挨拶をする。
テーブルで何かを書いていた先輩が出入口まで見送ってくれた。

「わざわざすみません、作業中なのに」

「いや、お疲れ。ありがとう」

頭をくしゃっとされた。
いつも黄瀬くんにやっているみたいに。

「アイツ、布団で寝ろって言ったのに……」

「ふふっ、困りましたね」

黄瀬くんは結局睡魔に勝てず椅子で寝てしまい、笠松先輩が布団へ移動させてくれていた。

「まだオマエは他の部屋も回るんだろ? あまり遅くならないように早く休めよ」

「はい、承知しました!」

「……黄瀬も変わったが……神崎も、よく笑うようになったな」

意外だった。
全く自覚はないんだけれど……。

「……私、ですか? そうでしょうか?」

「黄瀬も神崎も無理するのが癖になってるから、そこは直さねえとな」

優しい先輩の言葉。皆の優しさで、頑張れちゃうんだよね。

「……はい……気をつけます。では、失礼します」

あとは、その他のメンバーの部屋に行き、怪我や体調不良などがないかを確認する。

それが終わったら、入浴して今日の仕事は終了だ。



「お疲れさまです、神崎です!」

2軍の3年生の部屋に顔を出す。

「あ、お疲れ」

「練習後、身体に違和感がある方いらっしゃいませんか?」

1人、部屋の奥で手を挙げている人がいる。
……この間告白をしてきた先輩だった。

「なんか膝がちょっと……」

「はい、伺います!」

他には挙手がないようだ。
先輩の膝まわりに触れると、少し違和感を感じる。

「う〜ん、ここの筋が少し……明日、練習前にテーピングをします。
寝る前に少しアイシングをしておきましょう」

道具一式を鞄から出し、渡そうとすると、道具ではなく、手を掴まれた。

「えっ、あ、あの……」

「……後で……相談に乗って欲しい事がある。
明日からの練習のことなんだけど」

周りの人には聞こえない、小声で話しかけられるのに違和感を感じた。

「ここでじゃ……ダメなんですか?」

「出来れば人がいない方がいいから……後で、部屋ノックするから、出て来て」

こちらの返事を伺う物言いではない。
圧倒されるように承諾してしまった。

「わ、分かりました」
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