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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第72章 悋気


密着した身体。

私、まだ浴衣に着替えてなくて良かった。
あんな薄い生地でこんなにくっついていたら、心臓の音まで聞かれてしまう。


無言の涼太に連れて行かれたのは……

……涼太と青峰さんの部屋だった。

言葉なく、中に入るように促されて部屋に入ると、電気を点けないまま部屋の奥に連れて行かれる。

部屋の作りは私の部屋と一緒なのかな。

真っ暗で、白いベッドシーツが辛うじてぼんやりと見えるだけだ。

「涼太、電気……」


そう言いかけたけど、肩を掴んでいた涼太の腕が私の身体に回されたのを感じて、思わず息を呑んだ。

後ろから抱き締められたかたちになり、涼太の息遣いを頭のすぐ上で感じる。

「……あ、の……」

なんだろう、なに?

「……赤司っちや緑間っちと、何話してたんスか……?」

赤司さんと緑間さん?
あ、トランプが終わった後のこと?

……あれは、涼太に言うわけには……

「あ、さっき……? 別にどうという事もない話題だけど……」

「……黒子っちとは?」

「いや、世間話を……」


……沈黙。
不自然すぎる?

でも……わざわざ言うことでも、ないよね?


「青峰っちとは、何話してたんスか……?」

……え?

青峰、さんと……?



涼太がいる時に、青峰さんと話してた事ってなんだろう。

いつのこと?


今日、青峰さんと会話らしい会話をしたのは、バスケしてる時と、ファミレスと……さっきの、宿の裏口だけだ。

宿に着いてからの事は、涼太は知らないはずだから……

いつの事を言ってるのか、分からない。


「……答えられないような事、なんスか?」


えっと……


「みわ」

「は、はい……」


なに、この迫力。


「何、話してたの、青峰っちと」

ひとつひとつの単語が、怖いくらい重くて。
迂闊に答えられないような、そんな雰囲気。

なんて答えようか迷っていると、熱い息が耳にかかった。

「ひゃっ……!」

暗闇の中、感覚が敏感になってしまっている。
突然の吐息に、変な声を出してしまった。

「何してたの? ねぇ、言えないこと?」



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