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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第72章 悋気


「桃井、神崎さん。悪いが、年越し蕎麦を運ぶのを手伝ってもらえないか?」

赤司っちにそう声を掛けられて、みわと桃っちは部屋を出て行ってしまった。

あの2人も、いつものような空気ではなかった。

どこか気まずいような、後ろめたさを感じるような。




2人が出て行って暫くすると、青峰っちがやって来た。

部屋に入って来るなり、緑間っちに何かを話しかけている。

オレを気にしている様子はない。

いつも通りの彼は黒子っちの隣に座ると、テーブルの上に放置されていたトランプを掻き集めて、新しくゲームを始めた。

みわと、何を話してたんスか?
それに………………

オレに、なんか言うことないんスか?



「黄瀬、顔が怖いぞ」

「……へ?」

赤司っちに突然そう声を掛けられて、自分の頬に触れる。

「オレ、なんか変なカオしてたっスか?」

「青峰を睨み殺さんばかりの凄い目つきだったからな」

……全く自覚がなかった。

こんな気持ちのままじゃ、ダメだ。
ハッキリさせないと。

分かっているのに、ハッキリさせるのが怖い自分もいる。



「お待たせしました〜!」

そうこうしているうちに、みわと桃っちが戻って来た。
どことなく、気まずそうな空気が和らいでいる気がする……?

気のせいか?

時計を見ると、もうあと僅かな時間で新年を迎えてしまう。

今年は年越しをみわと一緒に迎えられると喜んでいたはずなのに、なんでこんな事になってしまったんだろう。


もやつく気持ちの中でも、年越し蕎麦はめちゃくちゃウマかった。

それから、皆で少し話をした。
ウィンターカップのこと、これからのこと。

そうして……


「皆、年が明けるよ!」


全員でカウントダウンをして……
……新年を迎えた。


今年は、卒業の年。
新しい生活が始まる年だ。



酸素濃度がすっかり薄くなった部屋に、新しい空気が入り込む気配。

誰かが部屋から出て行ったのか……と思い部屋を見渡すと、みわと黒子っちがいなくなっている事に気が付いた。



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