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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第72章 悋気


「はーっ、疲れた!」

「腕がジンジンするっスね」

オレたちは、ゲームコーナーの一画にある椅子に座り、ペットボトルの飲み物を口にしていた。

太鼓ゲームの他に、昔を感じさせるゲームが思いの外たくさん置いてあって……。

モグラ叩きゲームやらパンチングマシーンやら、ガンアクションのゲームなんかを3人で一通り遊んだ。

何も考えずに身体を動かして、憂鬱だった気分も少し晴れたようだ。

やっぱり、運動はいい。
欲を言えば、バスケゴールがあればもっと良かった。

軽く汗ばむほど身体は熱くなったが、ジュースを飲んで休憩しているうちに、すぐに冷えてきた。

「そろそろ部屋に戻った方が良さそうっスね」

「……うん、そうだね」

桃っちと目が合う。

逃避していた現実を思い出して、また陰鬱な感情が顔を出してきた。

そんなオレたちを、紫原っちが冷ややかな眼差しで見下ろしている。

「……さっさと戻るよ〜」

「ちょ、なんスか紫原っち!」

「ムッ君、どうしたの?」

紫原っちは、何故かオレと桃っちの肩を抱き、歩き出した。




「それにしても、ムッ君があんなにゲームが上手いとは意外だった!」

確かに、モグラ叩きからゾンビ排除ゲームまで、すんなりと高得点をおさめていく姿が少し意外だった。

「昔、結構やったしね〜」

「これも、ありがとう!」

桃っちが手に持っているのは、紫原っちがクレーンゲームで取ったひよこのぬいぐるみ。

あんなアームの弱さなのに、見事桃っちが欲しいとリクエストしたヤツを取って見せた。

それにしてもこのひよこ……目つきの悪さといい、青峰っちに似てる。

桃っち、自覚あるんスかね……。




赤司っちたちの部屋の前を横切ろうとした時、紫原っちの腕に力が込められた。

「……こっち〜」

物凄い力でぐいぐいと部屋の中に押し込めようとしてくる。

「ちょ、ちょ、紫原っち!」

「む、ムッ君!?」

その巨躯から絞り出される怪力と言っても過言ではないほどの腕力で、オレたちは赤司っちたちの部屋に入らざるを得なくなった。


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