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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第72章 悋気


「黄瀬、桃井、遅かったな」

集合場所として知らされていた場所には、赤司っち以外の面々は既にいなかった。

気軽なレストランがあるのかと思いきや、赤司っちが案内してくれた場所は『食事処』と表現するにふさわしい場所だった。

窓の外にはライトアップされた日本庭園。

掘りごたつ風になっているテーブルの上には、彩鮮やかな料理たち。

焼いた川魚に至っては、串に刺さった状態で花瓶のようなものに、まるで飾られているようかのような盛り付けだ。

「赤司君、ここって本当にお金払わなくていいの……?」

「ああ、構わないよ」

桃っちの質問に、学校の紙パックジュースを奢るくらいの軽さで、しっとりとした微笑みを浮かべたまま赤司っちはそう答えた。

……赤司家、恐るべし。

でも、折角だし遠慮なく堪能させて貰うっスよ。

「後は青峰と神崎さんか。
神崎さんは黄瀬が連れて来ると思っていたが」

2人の名前に、胸焼けのような不快感を覚える。

「ああ……部屋にいなかったみたいだから、先に……こっちに来てるかなって、思ったんスよ」

「……そうか」

赤司っちはそれ以上、追及して来なかった。




間も無く、みわと青峰っちがやって来た。

みわの頬が染まっているように見える……のは、ただの思い込みだろうか。

みわは、座るなり隣の緑間っちに何か話しかけられている。

談笑する姿に、沸き立つ苛立ちを隠し切れない。

その2人の会話に、高尾クンまで混じってきた。

会話の内容が全く頭に入ってこない。
耳が聞こえなくなってしまったかのようだ。

それなのに、耳鳴りのような不快な音は絶えず流れ続けている。

「きーちゃん」

隣の桃っちが、覗き込むようにして話しかけてくる。

「きーちゃん、大丈夫?」

相当酷い顔をしていたのか。

「ん、大丈夫っスよ、アリガト」

みわ達に視線を送るのをやめ、桃っちとあれやこれや言いながら食事を進めると、ドロドロした気持ちが少しだけ鎮まった気がした。


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