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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第72章 悋気


ーー指先が、冷えていくのが分かる。

今、目の前で起きたのは一体、なんだ?








大浴場が混浴と知ったみわは、桃っちに会いに大浴場へ向かって行ってしまった。

……桃っちに会いに行くだけだよな?
もしかして、みわ、風呂に入んないよな?

桃っちと一緒に風呂に入って、もし誰かと鉢合わせになったら……。

みわの身体を他のヤツが見ると思っただけで、足は勝手に動き出していた。

「赤司っちごめん! ちょっとオレ行ってくるっス!」

突然走り出したオレに驚く事もなく、赤司っちは微笑んでるだけだった。

また、予想通り、って顔だ。
悔しいけど、今はそんな事に気を取られてる場合じゃない。



大浴場の前の廊下で、紫原っちとすれ違った。

「神崎ちん? なんか急いで脱衣所に入っていったけど〜?」

遅かったか。
まさか、女子の脱衣所に入って声を掛ける訳にはいかない。

焦った気持ちのまま男性用脱衣所に駆け込み、服のまま大浴場へ入った。

「みわ!」

思わず大声で呼びかけたが、返事はない。
誰もいない事に安堵して、大浴場を出る。

まるでストーカーのような行動をしている自分自身を嘲笑って、脱衣所を出た。

ふわりと香るみわの香り。
空気が流れる方を何気なく見ると、青峰っちとみわの背中が見えた。

ここで、後ろから声を掛ければ良かったんだ。

大声で、みわ、どこに行くのって。

それをしなかったのは、何故だろう。

そのまま彼女が遠くに行ってしまうのではないかと恐れながら、見送ってしまったのは何故だろう。

みわは、オレの事を愛してくれている、はず。

こんなにも不安になるのは、何故だろう。



2人から距離を置いてついていく。
2人は、庭のような場所で何かを話している。

暗くて、良く見えない。
なんでこんな人気のない場所に来る必要があったんだろう。



庭へ出るためのガラス戸に、水滴がついた。
雨だ。

この気温で、更に雨に濡れたら風邪を引いてしまう。

みわ、何してんスか、戻ろう。

ガラス戸に送っていた目線を戻し、
そう、声を掛けようとしていたら、
突然……2人の影が重なった。


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