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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第72章 悋気


一瞬勘違いかと思ったけれど、続けて頬を打つ冷たい感覚に、気のせいではないと気付く。

「雨……」

道理で、まだそんなに遅くない時間のはずなのに、辺りが普段よりも暗いと思った。

まるで夜のように暗いのは、雲が厚かったせいか。

あいにく、時間を確認できる物を持っていない。

「青峰さん、今何時か分かりますか?」

3時に宿に着いてから、部屋割りで揉めて、皆で少し話して、部屋に戻って……を考えると……

「分かんね。5時半だか6時だかじゃねえの」

「……ですよね。そろそろ、夕食でしょうか」

それに、さつきちゃんの様子も気になる。
早く部屋に戻った方が良さそう……。

「戻るか」

「はい」

結局、もやもやしたままだ……。
でもそれは、青峰さんも一緒のようで。

「神崎……黄瀬には言うなよ。アイツ、いつも面白がって、からかいやがって」

「あ……はい」

なんでこの2人……
うまくいかないんだろう……

なんか、もどかしいな……

とにかく、今ここにいても仕方ない。
戻ろう。

少しずつ強くなってきた雨に焦り、急ぎ足で踵を返した。

「おい、そこ」

「え?」



瞬間、足元の地面がなくなり、
視界とともに身体が傾く。

「わッ……!」

「神崎!」

何かに力強く腕を引かれたと思ったら、身体に強い衝撃が走り、唇に柔らかいものが触れた。



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