第18章 夏合宿 ー1日目ー
今年の夏合宿は、山の中にある体育館。
宿は海沿いにある。
合宿当日は、朝から移動をして到着したらすぐにアップ、練習開始だ。
集中できないのではないかという心配も拭いきれなかったけど、合宿中はとにかく忙しく、それは杞憂だった。
朝から晩まで選手も私も動きっぱなし。
練習メニューの調整や時間管理なども、私の仕事。
食事は宿が出してくれるけれど、皆のドリンクや差し入れ作りなどは、全て私の役割だ。
2軍メンバーまで含めると、かなりの人数になる。
さすが強豪校。
そして真夏の合宿は、とにかく過酷だ。
朝から晩までの練習が終わる頃には、普段のメニューをこなしているメンバー達も、ぐったりしている。
各自着替えたら、入浴し食堂へ移動。
私は皆よりも先に食事をとり、今日の練習内容をまとめながら、衣類等の洗濯をする。
期間が長いため、かなりの数の洗濯物になる。
洗濯機は1日中回っている状態だ。
皆の入浴が終わったら、レギュラーメンバーの部屋から順にマッサージや体調管理などの確認をして。
レギュラーメンバーのみ、個人個人にマッサージをし、2軍のメンバーには体調について確認をするのみとなっている。
ゆっくりする暇なんて、1秒もなかった。
一時期はマネージャーも5人ほどいたらしい。
5人もいれば、余裕があるんだろうけど。
他にも故障者がいたら、事務仕事を手伝ってもらう事もあるみたいだけど……。
今は今の体制で、文句を言っても仕方ない。
私に出来ることをしなきゃ。
私の部屋からすぐのところに、レギュラーメンバーの部屋がある。
ノックをすると、中村先輩が顔を出してくれた。
「神崎、悪いな、疲れてるところ」
「お疲れさまです! お邪魔します!」
「みわっち、お疲れさま!」
「あ、神崎だ」
「なんだよ神崎、浴衣じゃねーの?」
皆が話しかけてくれる。
大好きなひとたちの、大好きな空気。
「あはは、まだお風呂入ってないのでTシャツですみません!」
レギュラーの先輩達とは1番長い時間一緒にいるし、気兼ねなく話せるのが楽。
勿論先輩だから、気は遣うけれど……。
息苦しさは全く感じない。
「端から順番に伺いますね」
長い、長ーい夜が始まった。