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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第72章 悋気


他のひとたちの進路。
気になってた。

皆、あんなバスケが出来るのに、続けないのかな……って、今日のプレーを見ていて思ったんだ。

ひとの進路にケチつけるつもりはもちろんないけれど、ただ純粋に勿体無いな、って。

皆が皆、競技として続けるわけではないんだろう、恐らく。


「黄瀬はどうするんだ?」

涼太の隣の赤司さんが、すかさずそう返した。

「オレっスか? オレは、笠松センパイの大学に行って、インカレ制覇を目指すっス」

「卒業後は?」

赤司さんのその言葉に、ギクリとした。
心臓が嫌な音を立てる。

涼太の卒業後の進路……一度も踏み込んで聞いたことはない。



「あー……ん、まあ色々考えてはいるんスけど、まだハッキリとは」

涼太は少し困ったような、そんな微笑みだ。

その返答に、思わず ふぅ……と、大きなため息のような呼吸をしてしまった。

どうやら、無意識に息を止めてしまっていたらしい。

明言されずに、安心している自分がいる。
何を怯えてるんだろう。


「なんだ、話を振っておいて、先の事はまだ決めてないのか」

そう笑った赤司さんと目が合い、安堵した自分を見透かされたようなその表情に、恥ずかしくなって顔を逸らした。


「赤司っちは?」

「俺は父の会社を継ぐつもりだから、卒業式が終わり次第、拠点を東京に戻すよ。
暫くは横浜支社で業務をする予定だが」

赤司さんが経営者。
うん、しっくりくる。

「へえ、横浜! 実家に戻るんスか?」

「いや、会社の近くで一人暮らしをする予定だよ。まずは物件探しからかな」

「じゃあ、前よりも会いやすくなるんスね」

「そうなるな」

「紫原っちは?」

涼太は、向かい側に座っている紫原さんに話を振った。



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